先制攻撃能力を中心とする日本の軍備増強を阻止しよう!——防衛費過去最大の8兆5389億円
政府の2025年度一般会計予算では、防衛省は24年度当初予算比で10・5%も増やした過去最大規模の8兆5389億円を要求(概算要求)した。
これは、「反撃能力」という名の、敵とみなした中国や北朝鮮のミサイル基地を先制的に攻撃する能力を構築することを眼目とするものである。
報道でも、同省がもっとも重視したのが反撃能力の整備だ、とされているように、これの関連経費として9700億円を計上した。同省が具体的に提示したのは、多数の小型衛星を運用する「衛星コンステレーション」の構築(3232億円)、音速の5倍(マッハ5)以上で飛行する超音速誘導弾製造態勢の拡充(2569億円)、国産の反撃能力の中核となる12式地対艦誘導弾の改良型の取得費用などである。
衛星コンステレーションは、同一軌道上に小型衛星を並べ、継続的に標的を探知・追尾するところの反撃能力の「目」の役割をはたさせるものである。防衛省は、25年度にはアメリカ製巡航ミサイル「トマホーク」などの配備を開始する。政府は現在、3種類の情報収集衛星を約10基運用しているのであるが、「撮影は1日2回程度であり、移動する攻撃目標の特定には使えない」(防衛省幹部)という認識なのであり、彼らは情報収集能力の強化を焦眉の課題としているのである。
これは、政府・防衛省が、中国や北朝鮮のミサイル基地を先制的に攻撃するためには、これらの基地の動静を探るとともに、これらの基地から日本に向けてミサイルが発射されようとしているというように言いくるめるための「証拠写真」を必要としているからなのである。
政府は2022年12月に改訂した国家安全保障戦略上の3文書の決定にもとづき、23~27年度の防衛費を43兆円に増やす方針であり、25年度はその3年目にあたる。今回の概算要求は、この方針の貫徹をなす。
いま、ロシア・中国を中心とする東側帝国主義陣営とアメリカ・西ヨーロッパ・日本などの西側帝国主義陣営はウクライナで軍事的に激突している。アメリカなどにささえられたイスラエル政府はガザの人びとを虐殺しつづけている。
東アジアでは、台湾海峡および朝鮮半島をめぐって、中国・北朝鮮・ロシアの東側帝国主義陣営の諸国と軍事的に対抗するために、アメリカ帝国主義国家と日本帝国主義国家とは軍事同盟を強化し、軍事力の飛躍的増強をはかっているのである。
これらの国家権力者の目論見はこうである。
北朝鮮にたいしては、在韓米軍と韓国軍が連携をとって攻撃するとしても、台湾海峡をめぐっては、中国が相手であり、アメリカ第7艦隊を中心として、ハワイに司令部をおくアメリカのインド太平洋軍がただちに中国のミサイル基地をたたく攻撃を開始しなければならない。この戦闘行動の一環として在日米軍が動くのであり、日本軍(自衛隊)はこの在日米軍と連携をとらなければならない。このような構想のもとに、アメリカ国家権力者と日本国家権力者とは、在日米軍司令部と日本軍司令部との連携を強化する体制と態勢づくりにふみだしたのであり、日本帝国主義国家権力者は、日米共同作戦行動における日本軍の地位と役割を飛躍的にたかめ、アメリカ第7艦隊といっしょになって日本軍が中国のミサイル基地を先制的に攻撃するための軍事力の増強によりいっそう強力にのりだしたのである。
今回の概算要求にしめされたものは、これである。
日本の軍事力増強阻止! 日米軍事同盟の強化をゆるすな! 日米安保条約破棄!
日本の労働者・勤労者・学生・知識人は、東西帝国主義陣営の軍事的抗争をうち破るために、プロレタリア・インターナショナリズムの立場にたって、全世界の労働者階級と国際的に階級的に団結し、革命的反戦闘争を展開しよう!