有事に日米共同作戦行動を指揮する日本側司令部を設置する法案が衆議院で可決。日米軍事同盟の強化阻止!

有事に日米共同作戦行動を指揮する日本側司令部を設置する法案が衆議院で可決。日米軍事同盟の強化阻止!

 

 陸海空の自衛隊の部隊運用を一元的に指揮する常設の「統合作戦司令部」を新設するための防衛省設置法などの「改正」案が、4月16日の衆院本会議で自民、公明、立憲民主など与野党の賛成多数で可決された。共産党とれいわ新選組は反対した。統合作戦司令部は2024年度末に、東京・市谷に240人規模で設けられ、陸海空に宇宙・サイバー・電磁波などの領域を加えた作戦の司令塔を担うとされる。また、「統合作戦司令官」が新設され、現場の部隊を指揮する役割を担い、陸海空の幕僚長と同格の将官とする、と規定された。

 アメリカ政府は、これに対応するかたちで在日米軍の指揮統制系統を再編する準備を急いでいる。現在、在日米軍は、ハワイに設置されているアメリカ・インド太平洋軍司令部の指揮のもとにあり、名目上存在する在日米軍司令部はほとんど権限をもっていない。これを改め、インド太平洋軍司令部の権限の一部を在日米軍司令部に移譲し、自衛隊の「統合作戦司令部」との協議にあたらせる、というのが、その再編の中身である。

 日本の国家権力者・岸田とアメリカの国家権力者・バイデンとは、このことを日米首脳会談で合意したのである。

 いま、アメリカの政治エリートたちは、この権限の委譲をどの程度のものとし、新たな在日米軍司令部をどのようなものとするのかをめぐって抗争をくりひろげているのである。

 この再編は、米日両国家権力者が中国軍あるいは北朝鮮軍の動きが怪しい見なすや否や、アメリカ軍と日本軍とで中国軍基地あるいは北朝鮮軍基地を一挙に先制的にたたきつぶす、そのように日米共同作戦行動の指揮体制を強化するというものである。

 これは、これまでは、アメリカ政府が命令し、インド太平洋軍司令部の指揮のもとに在日米軍が攻撃を開始すると同時に、それに引きずられるかたちで日本政府もまた自衛隊を日米共同作戦行動に動員せざるをえない、というのに比するならば、在日米軍司令部と自衛隊の司令部との間で協議する、という意味においては、日本の国家権力者の力の相対的な強化を意味するのである。

 したがって、日本政府のこの措置は、日本独占ブルジョアジーの日本型「日本第一」主義のナショナリズムの貫徹をなすのである。

 日本の国家権力者は、日本国家あっての日米同盟だ、と胸を張ったのである。立憲民主党をはじめとする野党は、この日本型「日本第一」主義のナショナリズムの濁流と日米軍事同盟の強化の策動にからめとられ、編みこまれた。共産党などの反対も、日本は自主性をもてるのか、というものであって、日本型「日本第一」主義の「日本第一」をよりいっそう押しだす、というものでしかないのである。

 日本の労働者・勤労者・学生・知識人は、この日米軍事同盟の強化をうちくだくために、一切の民族主義を排し、全世界のプロレタリアートと国際的に階級的に団結してたたかおう!

 

アメリカ政府も半導体の国内製造に必死。サムスンに64億ドル補助

アメリカ政府も半導体の国内製造に必死。サムスンに64億ドル補助

 

 アメリカのバイデン政権は、4月15日に、韓国のサムスン電子テキサス州中部ですすめる半導体製造拠点の集約化を支援するために64億ドル(約6800億円)の補助金を出す、と発表した。

 これは、中国に対抗して、アメリカ国内での半導体の製造能力を増強するためのものにほかならない。現在では、世界の半導体生産に占めるアメリカの割合は1割程度にすぎない。アメリカ政府は、2030年までに、これを2割程度にまで引き上げたい考えだという。こんなにあがいても2割程度なのである。これでは、アメリカは老衰している、とみられても仕方がない。

 バイデン大統領は声明で、「施設は人工知能(AI)のような先端技術に不可欠であり、アメリカの安全保障を強化する」と強調した。アメリカの国家権力者としては、中国に依存しない半導体サプライチェーン(供給網)を構築することがどうしても必要なのである。

 アメリカ政府は2022年に、半導体産業を支援するために計527億ドル(約8兆円) を投じるCHIPS科学法を制定し、アメリカのインテル半導体受託製造最大手のTSMCのアメリカ子会社などを支援してきた。サムスンの支援はその6番目となる。

 サムスンは、次世代半導体の研究開発や、半導体の回路をつくる前工程から組み立ての後工程までを包括した製造拠点を整備するために補助金を活用するのだ、という。総投資額は今後数年間で400億ドルを計画し、2万人を超える雇用の創出を見こんでいるのだ、という。

 アメリカ国家権力者バイデンは、たとえ日本の国家権力者・岸田に「孤独感や疲弊を感じている米国の国民」というように馬鹿にされようとも、自国アメリカの利害を必死で貫徹しないわけにはいかないのである。彼は、日本型「日本第一」主義のナショナリズムを貫徹する日本の国家権力者を見下すためには、トランプと異なるかたちで「アメリカ第一」主義のナショナリズムをつらぬく以外にないのである。

 

日本型「日本第一」主義あるいは「日本優越」主義のイデオロギーの貫徹

日本型「日本第一」主義あるいは「日本優越」主義のイデオロギーの貫徹

 

 岸田がアメリカ議会で演説した内容をもう一度考えよう。

 「ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国。孤独感や疲弊を感じている米国の国民に語りかけたい。一人で背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解している。」

 「「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思う。共にデッキに立ち、任務に従事し、なすべきことをする準備はできている。」と。

 こう言ったのである。

 日本の国家権力者に「孤独感や疲弊を感じている米国の国民」とか「一人で背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解している」とかと言われると、アメリカ人は自尊心を傷つけられ、頭にきて「お前、何様だ」、と言いたくなるのではないだろうか。そんなことはお構いなしに、岸田はこう言い放ったのである。

 日本の国家権力者と独占ブルジョアジーは、トランプが勝利し、彼が大統領として「アメリカ第一」主義を内外に貫徹し、内向きになるであろうことを見越している、と言ってよい。迫りくるこの事態に対処するために、岸田は、「アメリカは、日本が支えてこそのアメリカだ」「日本あっての日米同盟だ」ということを押しだしたのではないだろうか。

 岸田をつきうごかすと同時に自民党をはじめとする政治エリートたちを大きく再編するために動いている日本の独占資本家どもは、日本国家の独自的利害を貫徹するために、日米同盟を自国の力を増すかたちにおいて強化しつつ、同時に、中国・ロシアなどの東側陣営諸国およびインドなどのグローバル・サウス諸国との自国の独自的な関係をつくりあげていく、ということを構想し、この構想を貫徹しつつあるのだ、といわなければならない。

 このイデオロギーが、日本型「日本第一」主義あるいは「日本優越」主義のナショナリズムなのである。

 このイデオロギーには、日本の労働者たちやその他の諸階級・諸階層の人びとをからめとるために、NHKスペシャル「下山事件」にしめされるように、日本の敗戦と被占領の屈辱を晴らし、日本国家の真の自立をはたすのだ、という内容が盛りこまれている。

 それだけではなく、日本民族は優秀なのだ、ということを縄紋時代や弥生時代やまた古墳時代にわたって説く、というものが、そこには盛られている。

 私のこのブログの読者が教えてくれた。私は見ていないのだが、「卑弥呼」や「五王」などを描いたNHKスペシャからしておかしかったのだ、という。それは、日本人は古代から優秀だったのだ、と描きだしているものなのだ、ということである。

 こういう話をしていると、わが仲間たちが教えてくれた。稲作は朝鮮半島から日本列島に伝わってきたのではなく、日本列島から朝鮮半島に伝播したのだ、という説までもが飛び出しているそうなのである。

 さらには、半導体諸企業が熊本県や北海道に誘致され、諸工場がたてられているのであるが、日本の独占資本家どもは、高度な半導体を開発することに自信をもっているのだ、という。彼らは、アメリカ政府によって日本の半導体産業がつぶされた恨みを晴らす情念にもえているのだ、ともいえよう。このようなものは、技術開発における「日本第一」主義といえる。

 これらが、日本型「日本第一」主義のナショナリズムを基礎づけ・流布し・貫徹するための諸契機をなす、といえるであろう。

 日本帝国主義国家の国際的な雄飛をはかることを目論んで、このようなイデオロギーを貫徹し、労働者たち・勤労者たちの搾取と収奪と支配を強化する日本独占ブルジョアジーと国家権力者の策動をうちくだくために、プロレタリアートはみずからを階級として組織し団結しよう!

 

ガザでの殺戮と中東戦争を、全世界の労働者階級・人民の階級的団結で阻止しよう!

ガザでの殺戮と中東戦争を、全世界の労働者階級・人民の階級的団結で阻止しよう!

 

 イラン政府は——在シリアのイラン大使館への攻撃の報復として——イスラエルを大規模に攻撃した。イスラエル政府は、これへの報復の計画を練り準備をおしすすめている。

 ガザに侵略したイスラエル国家も、戦争を開始したイラン国家も、自国の労働者たち・勤労者たちを搾取し収奪し抑圧しているブルジョアジー独裁の国家であり、自国の労働者たち・勤労者たちにナショナリズムイデオロギーを注入し、彼らを兵士として動員して、戦争をくりひろげているのである。

 全世界の労働者階級・人民は、ガザでの殺戮と中東戦争を阻止するために、一切のナショナリズムを排し、プロレタリア・インターナショナリズムにもとづいて国際的に階級的に団結してたたかおう!

 イスラエル国家権力打倒!

 イラン国家権力打倒!

 パレスチナイスラエルとをふくむ全アラブ・全中東のプロレタリア的解放をかちとるために、全世界のプロレタリアートは団結しよう!

 

在日米軍と日本軍との共同作戦司令部の設置の策動——日米軍事同盟の飛躍的強化をうちくだこう!

在日米軍と日本軍との共同作戦司令部の設置の策動——日米軍事同盟の飛躍的強化をうちくだこう!

 

 日米両国家権力者は、「共同声明」で次のようにうちだした。

 「平時と有事における自衛隊と米軍の相互運用性、計画策定の強化を可能にするため、それぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる。より効果的な日米同盟の指揮・統制は、抑止力を強化し、自由で開かれたインド太平洋を促進する。」と。

 これは、在日米軍と日本軍(自衛隊)との、形式的には別ではあるけれども、実質的には両軍を統一的に指揮する統合司令部をつくる、というものである。これは、北朝鮮軍あるいは中国軍が怪しげな動きをしていると米日両国家権力者が見なすや、北朝鮮軍基地あるいは中国軍基地を、在日米軍と日本軍とが共同で一気に先制的に攻撃し破壊する、そのような共同作戦行動をおこなう実質上の両軍の統合司令部をつくることを画策するものなのである。

 在日米軍は、世界最大の駐留部隊である。それは、中国にたいする最前線に位置している。しかし、韓国軍は在韓米軍司令部の指揮のもとに組みこまれているのにたいして、在日米軍と日本軍とを統一的に指揮する司令部は存在しない。在日米軍の現行の司令部は、事務的なことがらなどのきわめて限られた権限を持つにすぎず、在日米軍は、ハワイに設置されているアメリカ・インド太平洋軍司令部の指揮のもとにおかれているのである。また、陸海空自衛隊もその指揮の有機性に乏しい。日本が先制攻撃能力をもち、さらに軍備増強をおしすすめていることを基礎にして、アメリカ国家権力者と日本国家権力者は、この現状を突破することを構想し、この構想の実現に踏み出した、ということなのである。

 一方では、日本政府は、陸海空自衛隊を統一的に指揮する「統合作戦司令部」を2024年度末に創設することを決定し、その準備を着々とおしすめている、と同時に他方では、これに対応して、アメリカ政府は、アメリカ・インド太平洋軍司令部のもとにその権限の一部を委譲して在日米軍の司令部の権限と機能を強化する計画の策定を急いでいるのである。この計画としては、いくつかの案が提出され、あらそわれている、とされる。

 日米両国家権力者は、創設される日本軍の「統合作戦司令部」と在日米軍の新たな司令部とが情報を共有し、共同で作戦計画を策定し、両軍を統一的に指揮することを狙っているのである。

 日本の敗戦と占領下での日本人の屈辱を晴らし、今日の日本国家の真の自立を実現するという、いま流されている・日本独占ブルジョアジーナショナリズムは、有事には在日米軍と日本軍とで共同で、北朝鮮軍事基地あるいは中国軍事基地を先制的にたたくことを指揮する実質上の統合司令部を創設することを正当化するためのイデオロギーにほかならない。

 日米軍事同盟の飛躍的強化をうちくだこう!

 全世界の労働者階級・人民は、一切の民族主義を克服し、プロレタリア・インターナショナリズムに立脚して、東西両帝国主義陣営の軍事的抗争をうちやぶる反戦闘争を推進しよう!

 

日米豪で無人機技術を開発——東西帝国主義の軍事的抗争をうちやぶる反戦闘争を展開しよう!

日米豪で無人機技術を開発——東西帝国主義の軍事的抗争をうちやぶる反戦闘争を展開しよう!

 

 報道によれば、日米会談で、戦闘機と連携する無人機の技術開発を、日本・アメリカ・オーストラリアの三か国で協力して推進することを合意する予定だ、という。

 ここに言う戦闘機とは、日本がイギリス・イタリアとともに開発する次期戦闘機のことである。この戦闘機は、敵に察知されにくいステルス機能に加え、無人機と連携する「第6世代機」とし、この無人機は、警戒監視や攻撃などをおこなうものとするのだ、という。

 これによって、日英伊というアメリカを加えない三か国による戦闘機の開発に、日米豪の三か国による無人機の開発を連動させたのであり、日本帝国主義国家権力者は自国をその結び目の位置においたのである。

 また、アメリカ・イギリス・オーストラリアの国防相は、4月8日に、この三か国による軍事的連携の枠組み「AUKUS(オーカス)」の先端軍事技術分野をめぐって、日本との協力を検討する、という共同声明を発表した。これは、日本のオーカスへの参加を目論んでいるものである。

 この三か国は、声明に、自律型兵器や人工知能(AI)、サイバー、電子戦といったオーカスの「第二の柱」と呼ばれる技術協力分野で、「同志国のパートナーを参加せることが取り組みの強化につながることを確信する」と明記したのである。

 さらには、日本・アメリカ・フィリピンの三か国は、11日に首脳会談をおこなうことをうちだしている。これは、南シナ海に進出する中国と対抗するために、この三か国の軍事的提携を強化することを狙ったものである。これは、日米軍事同盟と米比軍事同盟とを日本を要衝の地として結びつけるものにほかならない。

 日本帝国主義国家権力者は、このようにして、中国およびロシアの東側帝国主義陣営と対抗する西側帝国主義陣営の東アジアにおける軍事的提携の中心国に自国を雄飛させることを企てているのである。

 アメリカの日本大使館は、大統領選におけるトランプの勝利を見越して、トランプの諸支持団体へのロビー活動をすでに展開している。岸田は、大統領がトランプに代わっても日米関係をうまくやっていけるように、今回のバイデンとの会談を実現しようとしているのである。

 全世界の労働者階級・人民は、プロレタリア・インターナショナリズムの立場にたって、東西両帝国主義陣営の軍事的抗争をうちやぶる反戦闘争を展開しよう!

 

実質賃金またマイナス。資本家は賃上げ分を物価のつり上げで取り戻すのだ。さらに大幅な賃上げをかちとろう!

実質賃金またマイナス。資本家は賃上げ分を物価のつり上げで取り戻すのだ。さらに大幅な賃上げをかちとろう!

 

 厚生労働省の発表によれば、2024年2月の実質賃金は、前年同月比1・2%のマイナスとなった。これは過去最高と並ぶ23か月連続の減少である。いろいろごまかした政府の統計でさえ、こうなのだ。

 独占資本家どもは、わずかばかりの賃上げをして、「賃上げしたぞ。商品をもっと買え」、と労働者に消費を喚起しておいたうえで、自分たちが売る諸商品の価格をつり上げ、賃上げ分を上回る貨幣をふんだくるのである。労働者たちには、賃金を上げるためにもっと生産性を上げろ、と労働強度の強化を強いておいたうえで、である。これが、搾取と収奪を強化する独占資本家どものやり口なのだ。

 マルクスが言うように、賃金は力が決する。資本家階級に抗する労働者階級の団結の力である。

 独占資本家どものこのような策動をうちくだき、すべての労働者の大幅な賃上げをかちとるために、労働者たちは階級的に団結してたたかおう!