「未富先老」(豊かになる前に老いる)の農民工——全人代開幕を前にした中国
中国の全国人民代表大会(全人代)が3月5日に北京で開幕する。この中国では、経済的危機が進行し、労働者階級は悲惨な状況に追いこまれている。
もっとも追いつめられているのが農民工だ。
生活の糧を求めて都市に流れこんだ農民出身の労働者たちは、いまや、工場や建設現場から相次いで追放された。彼ら農民工は豊かになる前に老い始める「未富先老」の現実に直面しているのである。彼らは、「先富論」を掲げた鄧小平のもとで都市に駆りだされ徹底的に搾取された挙句に、使い捨てなのだ。この現実をおおい隠すためのスローガンが習近平の「共同富裕」なのである。
かつて若い農民が都市にむかったのであった。いまや、2022年に3億人いた農民工の平均年齢は42・3歳。50歳以上の割合は10年前の2倍の約3割に達した。
若者も大変だ。学生を除く16~24歳の失業率は2023年12月に14・9%に上った。若者のあいだでは、恋愛せず、結婚せず、出産せずをさす「三つのノー」がひろがっている。
生起しているのは、明らかに、資本の過剰とこれにもとづく労働力の過剰である。
各地で、放置された建設途中の高層マンションがコンクリート壁と鉄骨の異様な姿をさらしている。
建設されてから一度も使われていない高速鉄道の駅も、風雨にさらされている。張りめぐらされた高速鉄道網は、赤字路線がほとんどを占める。これを運営する中国国家鉄道集団の負債は6兆元(約125兆円⦆に達している。それでも、今後も建設をすすめる方針だという。
空港も、造りすぎであり、黒字は1割余りしかない。地下鉄や発電所もまた同様である。
地方政府は、農民から土地を収奪し、その使用権を開発業者に売却して、インフラ投資のための資金を得るとともに、地方政府=党官僚と開発業者とで、利益を山分けし私腹を肥やしてきた。(1990年代には、地方政府のこの暴力は、スターリン主義政治経済体制の解体を促進したのであり、これは、資本の根源的蓄積過程の中国的形態をなしたのであった。)このうまい商売が成り立たなくなって久しい。投資と資金繰りのために銀行などから借りた金は膨れあがった。
中国財務省によると、2023年末時点の地方政府の債務残高は40兆7373億元(約850兆円⦆に達し、前年比で16%増加した。国際通貨基金(IMF)は、地方政府の累積債務は2023年に、「隠れ債務」をふくめて100兆元(約2080兆円)に及んだと推計している。
地方政府はこの財政危機ののりきりを、公務労働者や教育労働者への賃金の未払いというかたちで強行しはじめた。
各地で、教育労働者たちは団結し、大挙して地方政府庁舎に押しかけ抗議行動を展開しているのである。
全世界のプロレタリアートは、このように苦しめられ・それをはねのけるためにたたかう中国のプロレタリアートと国際的に階級的に団結してたたかおう!