ヨーロッパ市場で銀行株が急落。胚胎した金融危機の根は深い

ヨーロッパ市場で銀行株が急落。胚胎した金融危機の根は深い

 

 ヨーロッパ各国の株式市場では、3月24日に、銀行株の急落が相次いだ。

 ドイツ金融最大手のドイツ銀行の株価は一時、前日終値から15%近く下落し、前日比8・5%安で取引を終えた。イギリスのスタンダード・チャータードは6・4%安、フランスのソシエテ・ジェネラルは6・1%安、クレディ・スイスの買収を決めたスイスのUSBは3・6%安となった。

 主要国の株価指数は、ドイツが前日比1・7%安、フランスは1・7%安、イギリスは1・3%安であった。

 この事態は、直接的には、スイス当局がUSBによるクレディの買収をめぐって、クレディの社債のうち返済の優先順位が低い永久劣後債約160億スイス・フラン(約2・3兆円)分を無価値としたことを要因としている。投機屋たち(金融諸機関・諸独占体・個人投資家)は、永久劣後債の発行額が多い銀行への不信をあらわにしたのだからである。

 すなわち、世界の金融システムは、経営上破綻した銀行の存在する国の政府・金融当局が、当該の銀行の資産の全額を保証しないことには安定しない、という状況におちいっているのである。

 帝国主義各国の政府と金融当局は、2008年のリーマンショック時のような金融危機が生みだされないようにするために必死である。だが、利上げというブレーキを踏みながら、同時に、銀行の倒産を防ぐというアクセルを踏むことは、はたして可能なのか。利上げは市場からの資金の引き上げであり、銀行への資金の注入は市場への資金のまき散らしである。前者は信用の収縮をもたらし、後者は信用の膨張をもたらす。前者は、膨れあがった金融的バブルからのガス抜きであり、後者は、膨れ上がった金融的バブルへのよりいっそうのガス入れである。

 西側および東側の帝国主義各国の権力者とブルジョアジーは、迫りくる全世界的な経済的危機を、労働者・人民の搾取と収奪と抑圧のよりいっそうの強化によってのりきることを策している。この目論見をうちくだくために、全世界のプロレタリアート・人民は、国際的に階級的に団結しよう!