スイスの銀行も経営危機。米欧の金融当局はリーマンショック時並みの金融危機を回避するのに必死!

スイスの銀行も経営危機。米欧の金融当局はリーマンショック時並みの金融危機を回避するのに必死!

 

 米欧の中央銀行および財務閣僚の面々の必死の形相が目に浮かぶようだ。アメリカの2行の経営破綻に引きつづいて、スイスの銀行の経営危機があらわとなった。各国の金融当局は、迫りくるリーマンショック時並みの金融危機を回避するのに必死なのである。

 3月14日に、スイスに拠点をおく多国籍銀行クレディ・スイスの経営上の危機が表面化した。同社は、危機管理などの内部管理上の問題があるとする報告書を発表したのである。15日には、アメリカの通信社ブルームバーグが、クレディ・スイス筆頭株主であるサウジアラビアの金融機関が追加出資しない意向である、と報じた。

 これらが報じられるや、クレディ・スイスの株式は売られ、15日の同株式の終値は前日比24%安となり、過去の最安値を更新した。他の金融株も売られ、ヨーロッパの主要株価指数は軒並みに大幅に下落した。

 ニューヨーク市場でも、JPモルガン・チェースが約5%、ゴールドマン・サックスが約5%、それぞれ株価が下がった。

 東京市場でも、16日の日経平均株価が一時600円近く下落した。

 これにたいして、スイス国立銀行中央銀行)とスイス金融市場監督局は、15日夜に、クレディ・スイスにかんして、「必要に応じて(資金の)流動性を供給する」という共同声明を発した。これをうけて、クレディ・スイスは、16日に、スイス国立銀行から最大で500億スイス・フラン(約7・1兆円)を借り入れる、と発表した。これによって、当面の危機の激発は回避された。東京市場日経平均株価は、少しばかり値を戻した。

 金融当局の対応は、速かった。

 だが、もぐらたたきはつづく。

 アメリカの中堅銀行であるファースト・リパブリック銀行の経営上の不安がひろがった。これを食い止めるために、JPモルガン・チェースバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)などの大手銀行11行は、16日に、合同でファースト・リパブリック銀行にたいして合計300億ドル(約4兆円)を預金する、と発表した。

 いまや、シリコンバレー銀行の破綻は氷山の一角にすぎないことが明るみに出された。

 各国の政府・金融当局および金融業の諸独占体は必死である。破産を申告し他の金融機関の支配下にはいった銀行や倒産の危機に瀕した銀行に、いち早く・多額の資金を注入する、というのが、リーマンブラザーズの倒産を機に世界金融危機にみまわれたことにかんする彼らの教訓なのである。だが、これによって、吹き出しつつある危機をのりきることができるのであろうか。胚胎する危機は、深く広い。

 腐朽する現代帝国主義の危機ののりきりを狙い、労働者・人民への搾取と収奪と抑圧の強化を策す、各国権力者と独占ブルジョアジーの諸攻撃をうちやぶるために、全世界のプロレタリアートは国際的に階級的に団結しよう!