安倍派解体を策すのはいったい誰なのか

安倍派解体を策すのはいったい誰なのか

 

 今回の政治資金パーティー収入還流の暴露は、安倍派の解体を狙ったものである、といえる。と同時に、岸田政権をつぶすことをも目論んでいる、といえる。このようなものとして、これは、日本支配階級内の政治エリートの一大再編を企てたものである、といわなければならない。

 では、これは、いったい誰がやっているのであろうか。安倍派の五人衆および岸田にとって代わるような強力な人間は見あたらない。

 この暴露は、暴露する人物がいなければできないことである。関係者が完全に裏金として隠し通すならば、隠蔽しきることができるからだ。この意味では、漏らした人間は安倍派のなかにいることになる。こういう人間をあやつっているのは誰か、ということである。

 安倍その人を実際に銃で撃った人間も、ついに暴露されなかった。安倍を殺したうえで、さらに旧統一教会の悪行を暴露し攻撃したのも、主要には安倍派を狙ったものであった。

 安倍がプーチン習近平との独自のパイプを持つがゆえに、プーチンのロシアや習近平の中国との対立を深めるアメリカのバイデン政権、この政権を支える部分が、安倍を暗殺したのだ、という分析は、興味深いとはいえ、少し無理がある。ウクライナ問題をめぐっても、覇権を狙う中国への対抗という点でも、バイデン政権は、岸田を震えあがらせて、この政権を劇的に抱きこみえた、とは言いえないからである。台湾海峡および北朝鮮をめぐっての日米軍事同盟の飛躍的強化と日本の軍事力の抜本的増強は、日本の支配階級とその国家権力者の望むところであるからである。日本の諸独占体は、サハリン沖の天然ガスの権益を手放してはいないし、中国の諸独占体との提携をあくまでも模索しているからである。これは、中国経済に依存することなしには日本経済は成り立たないことにもとづく。

 いずれにしても、何らかのきれいな図式が描けるわけではない。現在進行している事態は、アメリカの支配階級の何らかのグループとか、日本の支配階級の経済エリートの諸部分とかとは相対的に独自の、日本の政治エリートの内部で起きているものであるといえる。これは、過去の何らかの事態と類推して分析することのできるものとは異なる・新たなことがらである、といえる。

 自民党は解体にすすむ、と思われる。与党および野党の総体の大再編をもたらすことが予測される。進行する方向は定まっていない。全体が混沌としている。政治エリートの諸グループが水面下でしのぎを削っているといえるのであり、どの部分が抜きんでて、他の部分を糾合していくのか、ということが問題となる、といえよう。

 政治エリートの諸グループは、日本経済の衰退をのりきり、独占資本家どもが労働者・勤労者の搾取と収奪をよりいっそう強化することをささえ、労働者たちの不満と反発を抑えこみ、政治支配体制をさらに盤石のものとするために、抗争しているのである。

 労働者・勤労者・学生・知識人は、内部抗争をくりひろげながら・搾取と収奪と抑圧を強化する日本の支配階級と国家権力者の諸攻撃をうちくだくために、階級的に団結しよう!