安倍晋三を殺しても、日本の支配階級は「サハリン2」にしがみつく

安倍晋三を殺しても、日本の支配階級は「サハリン2」にしがみつく

 

 G7(主要7か国)の財務相は、9月2日に、ロシア産石油の輸入価格に上限を設ける措置を12月5日に導入することを合意した。

 これは、上限を超える価格の石油の海上輸送に保険会社が保険サービスを提供することを禁じる、というものであり、G7に同調しない国の保険会社が保険サービスを提供すれば、ザル抜けとなる。また、ロシアが、上限価格以下では石油を売らない、という対抗措置を実施すれば、大混乱が生じる。このような代物である。

 しかし、このことについては、ここでは、これ以上言及しない。

 ここでとりあげるのは次のことである。「サハリン2」から日本への石油の輸入にかんしては例外扱いとし、上限を超える価格で輸入することができる、としたことが、それである。

 これまでは「サハリン2」にかんしては、LNG(液化天然ガス)の輸入を、日本の政府・支配階級は問題としてきたのであったが、すでに、ロシア政府が設置した新たな会社に、三井物産三菱商事が参加を申請し認められた。日本の政府・支配階級は、あくまでも「サハリン2」にしがみついているわけなのである。

 ここで思い起こしてほしいのは、安倍晋三の暗殺についての分析である。インターネット上にあふれていたもののなかに、この暗殺はアメリカのネオコンがやったのだ、という時事解説があった。

 バイデン政権をささえるネオコンが、ロシアや中国に独自のルートをもつ安倍晋三を殺したのであり、対ロシア強硬路線をとるように日本の権力者・岸田を恫喝したのだ、岸田はそれに屈するだろう、しかし、いずれは、資源をもつロシア・中国の側が、西側帝国主義諸国にたいして優位にたつ、というのが、それである。

 私は、さまざまな論議において、この時事解説は、現実の下向分析が欠如したものであり、一定のシェーマを枠組み(実際は仮説)として設定し、そこから天下り的=演繹的に論じるものである、とし、このような論じ方を参考にすべきではない、それの真似をすると自分の頭をこわしてしまうことになる、と話してきた。

 安倍晋三の暗殺にかんしても、そして「サハリン2」をめぐっての、日本の政府・支配階級とロシアの政府・支配階級との抗争、および、前者と西側帝国主義諸国の政府・支配階級との抗争にかんしても、われわれは現実そのものを下向的に分析すべきなのである。