プーチンの「ロシアとウクライナの歴史的一体性」論文

プーチンの「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」論文

 

 このブログの読者の皆さんに、ロシアのウクライナ軍事侵略を基礎づけるためのプーチンイデオロギーを分析してほしいので、二〇二一年七月のプーチンの論文「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」の抜粋を記す。

 

  <ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性>

 

 <ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人は、ヨーロッパ最大の国家であった古代ロシアの後継者である。>

 <私は、ウクライナの真の主権は、ロシアのパートナーシップによってのみ可能であると確信している。私たちの精神的、人間的、文明的な結びつきは、何世紀にもわたって形成され、同じルーツにさかのぼり、共通の試練や成果、勝利によって強化されてきた。

 私たちの親族関係は、世代から世代へと伝わっている。それは、現代のロシアとウクライナに住む人びとの心のなかにあり、記憶のなかにあり、何百万もの家族をむすびつける血のつながりのなかにある。これまでも、そしてこれからも、一緒にいれば何倍も強くなり、成功するであろう。私たちは一つの民族だから。>

 <一九二二年、ウクライナSSRが設立されたソビエト連邦が誕生すると、ボルシェビキの指導者たちのあいだでかなり激しい議論が交わされ、平等な権利を持つ共和国の連合体として連合国家を形成するというレーニン主義の計画が実行された。>

 <ボルシェビキは、ロシア国民を無尽蔵の社会実験の材料として扱った。彼らは、国民国家を完全に廃止する世界革命を夢見ていた。だからこそ、恣意的に国境を切り刻み、豪華な領土「プレゼント」を配ったのだ。結局、ボルシェビキの指導者たちが何に導かれて国を切り刻んだかは重要ではない。このような決定の詳細や背景、論理について議論することは可能である。ひとつはっきりしているのは、ロシアは実際に強盗にあったということだ。> 

 

 プーチンの内面は、ボルシェビキレーニンと世界革命への憎しみに満ちている。彼がおのれの精神的支えとし自己の行為を正当化するためのものは、古代ロシアからの血のつながりとして、ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人の一体性を説きおこすことである。これは、戦前の日本の天皇イデオロギーつまり「大東亜共栄圏」の思想や、ナチスの「血と土」の思想と同質のものである。それは、帝国主義的侵略を基礎づけるための、したがって同時に、自国の人びとを国家として統合するためのイデオロギーなのである。

 東西の帝国主義国家権力者どもの帝国主義的抗争と彼らによる労働者・人民の搾取と収奪と支配をその根底から転覆するために、万国のプロレタリア、団結せよ!