宇野弘蔵の帝国主義論の方法を適用すべきこと

宇野弘蔵帝国主義論の方法を適用すべきこと

 

 二一世紀現代世界の動向を、<中・露⇔米・欧・日>という対立を措定して、すなわち、スターリン主義国家から転化した帝国主義国である中国・ロシアと、従来からの帝国主義国であるアメリカ・西ヨーロッパ諸国・日本の対立を措定して分析するためには、宇野弘蔵帝国主義論の方法を適用することが必要である。

 帝国主義段階へと発展した資本主義経済を分析するためには、帝国主義国ドイツと帝国主義国イギリスとの対立を措定して、ドイツにおいて形成された金融資本の形態と、これに対応するかたちで形成されたイギリスにおけるそれとの違いをおさえ、前者の形態を積極型、後者の形態を消極型として分析しなければならない、というのが、それである。(ここでは、金融資本の形態の分析の内容についてはたちいらない。)

 したがって同時に、帝国主義戦争の必然性にかんして、ここに言う、帝国主義国ドイツと帝国主義国イギリスの二実体の対立を措定して明らかにすることが必要なのである。前者のドイツが、この必然的運動の能動的実体=積極的要因をなし、後者のイギリスが受動的実体=消極的要因をなす、ということである。

 この二実体の対立を記号的に表現するならば、<帝国主義国A⇔帝国主義国B>というように表記することができる。

 二一世紀現代世界の動向の分析にこの方法を適用するならば、<スターリン主義国家から転化した帝国主義国である中・露⇔従来からの帝国主義国である米・欧・日>という対立を、世界の動向を規定している二実体の対立として捉え、前者を能動的実体=積極的要因、後者を受動的実体=消極的要因として把握しなければならない。現代中国が世界の覇権を奪うためにアメリカに挑んでいるのであり、プーチンのロシアが、この中国に経済的にささえられていることを基礎にしてウクライナに軍事侵略したのだからである。

 したがって、ロシアのウクライナ軍事侵略という・二一世紀現代における帝国主義戦争の独自的形態と、これを規定しているところの帝国主義戦争の必然性の貫徹形態の変化を、<帝国主義諸国A21帝国主義諸国B21>という実体的対立を措定して明らかにすることが肝要なのである。この記号的表記において、AとBとのそれぞれに21という添え字を付したのは、二一世紀現代ということをあらわすためである。

 このA21とB21との対立は、東の帝国主義諸国と西の帝国主義諸国との対立というように言うことができる。このばあいに、この対立は、第二次世界大戦終結以後、一九九一年の現代ソ連邦の崩壊までの現代世界の動向を基本的に規定していたところの東のソ連圏と西の帝国主義陣営の対立とはその性格が根本的に異なることを把握しておかなければならない。かつての東西対立は、資本主義とは異なるスターリン主義政治経済体制をとるところのスターリン主義諸国家群と帝国主義陣営との対立であったのにたいして、二一世紀現代の東西対立は、国家資本主義と国家独占資本主義ののりきり形態という違いはあれ、ともに帝国主義的政治経済構造をなすところの帝国主義諸国家同士の対立をなすのだからである。

 われわれは、東西の帝国主義諸国家をその根底からくつがえすのでなければならない。その世界革命戦略は<反帝国主義反スターリン主義>である。東西の帝国主義諸国家権力を連続的に打倒していくためには、各国において、<反スターリン主義>でみずからを武装した革命的プロレタリアを大量的に創出し、反スターリン主義前衛党を、そしてその世界党を、創造しなければならないのであり、プロレタリアートを階級的に組織しなければならない。このイデオロギー的=組織的闘いをおしすすめるために、われわれが不断の階級闘争に貫徹しなければならないのは、<反スターリン主義>の組織戦術なのである。