移民排斥の排外主義をうち砕け!——労働者階級の分断支配をはかるドイツ極右政党が首相候補に選出
ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、1月11日の党大会で、2月の総選挙の顔とするために、アリス・ワイデル共同党首を首相候補として正式に選出した。同党が首相候補を立てるのははじめてである。これは、極右勢力がすでに国家権力をとっているイタリア、とろうとしているオーストリアにつづいて、ドイツで自分たちが政権の座に就くそ、という意志を、この極右勢力が鮮明にしたものにほかならない。
全会一致で選ばれたワイデルは、「AfDはこの国をふたたび強く、豊かに、安全にする」、と叫んでドイツ・ナショナリズムをあおりたてた。
彼は、政権奪取後100日以内に不法移民の大規模な強制送還などをおこない、EU(欧州連合)の移民政策から離脱する、と表明した。また、エネルギー価格の高騰を抑えるためにロシア産の天然ガスの購入を再開する、とも明らかにした。
同党は移民排斥やウクライナ支援反対を叫んで世論調査の支持率では2位につけているのであるが、主要政党はこの党との連立を拒んでいるのであって、この現状を突破し、総選挙で、圧倒的多数の1位におどりでることを、この極右勢力は狙っているのだといえる。
公共放送ARDによると、党大会会場周辺では同党の政策に反対する1万人以上が抗議デモをおこなった、という。
抗議する労働者たちを抑えこみ押しつぶし、イタリア、オーストリアにつづいて、自分たち極右勢力が中軸となって国家権力を掌握するために、この党は、不法移民の大規模な強制送還を前面に掲げたのだ、といわなければならない。移民に職を奪われ失業に追いやられているのだ、難民のために国家財政を使って自分たちは貧困に苦しめられているのだ、というように、難民および移民の労働者たちへの反感と敵愾心を、在来のドイツの労働者たちにあおり、労働者階級を分断し、相互に敵対させ、在来の労働者たちを自分たち極右勢力のもとにからめとること、これが移民排斥の呼号の目的なのである。これは、ユダヤ人への憎しみにドイツの労働者たちを駆りたてたナチスの手口と同じである。ドイツ人は優越な人種であるという、人種=血の観点からユダヤ人虐殺を企てたナチスと今日の極右が異なるのは、移民・難民が外国人であり、外国から大量に流入してきた者たちであり、自分たちの職と国家資金をうばっているのだ、というように、在来の労働者たちに被害妄想をあおっていることにある。このイデオロギーは反移民の排外主義なのである。
排外主義は、外側に敵となるものを意図的にこしらえあげ、労働者たちにこれを攻撃させて労働者たちを自分たちのもとにからめとる、という支配階級のイデオロギーなのである。支配階級たるブルジョアジーは、資本による賃労働の搾取をおおい隠し、労働者たちの怒りを自分たちにむけさせず、他のものにむけさせるために、外側に敵となるものをこしらえあげるのであり、このようなものとしての排外主義のイデオロギーを鼓吹するのである。ドイツをはじめとするヨーロッパの極右勢力は、敵とすべきものとして難民と移民の労働者をえらんだのである。在来のドイツの労働者の敵愾心を、移民の労働者にむけさせれば、ブルジョアジーは、自分たちに階級的に対立するプロレタリアートを分断し、この被支配階級の内部で相互に対立させることができるのだからである。これほど支配にとって都合のいいことはない。
労働者たちはだまされてはならない。極右が宣伝する移民排斥の排外主義のイデオロギーをうちやぶろう! 移民排斥の排外主義を鼓吹する極右勢力そのものをうちくだこう!
ヨーロッパの独占ブルジョアジーの救世主として登場したこの極右勢力は、すでにイタリアで国家権力をにぎり、オーストリアで政権の座につこうとし、さらにドイツで政権奪取のときの声をあげた。次期トランプ政権の要職につくイーロン・マスクは「極右政党に投票せよ!」と呼びかけた。イタリアのメローニは、グリーンランド、パナマ運河所有の野望を抱くトランプを擁護した。次期トランプ政権とヨーロッパの極右政権とは、中国に対抗するために結束することを約束したのである。
世界は風雲急を告げている。独占資本家どもに搾取されている全世界のプロレタリアートは起ちあがろう! プロレタリア階級闘争の壊滅状況をうちやぶろう! みずからを階級として組織し、国際的に団結しよう!
東と西の帝国主義を打倒しよう! 一切の民族主義と排外主義をうちくだき、プロレタリア世界革命のためにたたかおう!