アメリカの次の覇権国を狙う中国とインドの抗争——G20をめぐって

アメリカの次の覇権国を狙う中国とインドの抗争——G20をめぐって

 

 中国の習近平も、ロシアのプーチンも、インドで開催されているG20首脳会議を欠席した。中国は李強首相が、ロシアはラブロフ外相が出席した。

 この会議を前にして、中国は、南シナ海のほとんどを自国の領海とし、インドと領有権を争う地域を自国の領土して描いた地図を発表した。

 これは、アメリカから世界の覇権を奪うことを狙う習近平の中国が、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の参加国を拡大しえたことを基礎にして、G20を足場にして自国に挑戦するモディのインドにその抑えこみを図ったものにほかならない。インドの国家権力者は、若々しい労働力の増加とIT・AIなどの技術力の強化を基礎にして、中国がアメリカから世界の覇権を奪うよりも前に自国がその覇権を握ることを狙っているのだからである。

 G7というかたちで身を寄せ合う・年老いた西側の帝国主義諸国は、広島での首脳会議にウクライナや韓国などのみずからの陣営に属する国ぐにとグローバル・サウスの主要な国ぐにを招いて東側帝国主義陣営に対抗した。これにたいして、東側の帝国主義国をなす中国は、ウクライナへの軍事侵略によって疲弊するロシアを抱きこんで、西側帝国主義陣営に属する国をふくまないBRICSを拡大し、アメリカから覇権を奪う基礎を築いた。

 グローバル・サウスの盟主を自任し・中国とその接する地域の領有権を争うインドは、兵器をロシアから輸入することに依存していたのから、アメリカと共同生産するという道を切り拓くとともに、ロシアからの原油の輸入を拡大する、という行動に端的にみられるように、東側帝国主義陣営の諸国と西側帝国主義陣営の諸国の両者から利益を得ることを追求しているのである。

 このインドの国家権力者は、世界の諸動向の主導権を自国が握るために、両者の陣営に属する国ぐにも、グローバル・サウスに属する国ぐにも、その主要な国ぐにが結集するG20を自国の足場として強化することを画策しているのである。G20の議長国であるインドは、今回の首脳会議にアフリカ連合(AU)の議長団を招待した。インドの権力者は、自国が足場とするG20の権威をたかめるために、その参加国にAUやナイジェリアを加えることを追求しているのである。G20のこの拡大は、BRICSに対抗するために、西側帝国主義諸国の権力者にとっても望むところなのである。

 三極をなす陣営のそれぞれの国家の権力者と支配階級は、自国の労働者たち・勤労者たちの搾取と収奪と抑圧を強化することを基礎にして、たがいに抗争しているのである。

 全世界のプロレタリアートは、これらの者どもの支配をその根底からくつがえすために、国際的に階級的に団結しよう!