ロシアは米日欧への債務の返済を停止——帝国主義経済は新たな事態へ

ロシアは米欧日への債務の返済を停止——帝国主義世界経済は新たな事態へ

 

 ドル建てのロシア国債のデフォルト(債務不履行)が迫っている。このデフォルトは、これまでとは異なる特質をもつ。ロシア政府は、ドル資金をもっているにもかかわらず、——非友好国にはルーブルで支払う、という理由をつけて、——米欧日の金融諸機関・諸企業には支払わない、と予測されるのである。これは、米欧日の諸政府が自国に存在するロシアの外貨準備(これはロシアの外貨準備全体の半分にのぼる)を凍結したことにたいする報復である。

 これまでは、国債のデフォルトをひきおこした国には、国際諸機関および米欧日の諸政府が支援して、その危機をのりきってきた。一九九八年のロシアのデフォルトのときもそうであった。今回は、米欧日の帝国主義諸国がプーチンのロシアを支援することはない。米欧日諸国の金融諸機関・諸企業が保有するロシア国債の資産価値はなくなった、といえる。

 日本の銀行は、保有するロシア国債の資産価値をゼロと計上しはじめた。

 ロシアの国家財政の国債への依存比率は比較的に小さい。

 問題は、アメリカの金融諸機関が、ロシアの国債や諸企業の社債などをくみこんだ証券をどれだけつくりだし、全世界に売りさばいているのか、ということにある。これはブラックボックスである。この構造は、二〇〇八年のリーマンショックを引き起こした要因、すなわち、サブプライム住宅ローン(返済能力の低い人への住宅ローン)の債権をくみこんだ証券が次々につくられ、売りさばかれたのと同じ構造をなす。これの規模が事を決する。