ヒスパニック系の労働者を格好の餌食とし・その生き血を吸って増殖するアメリカ資本
アメリカでは英語とスペイン語の「二言語化」がすすんでいるという(「読売新聞」2023年11月4日朝刊「変容する米国4」)。
「全米のスペイン語話者の人口は、スペインより多い、5000万人超に上る。中南米移民の流入や出生率の高さから、30年後には世界最多の1億3000万人に達するという推計もある。
スペイン語と英語が混ざった「スパングリッシュ」と呼ばれる話法も広まっている。一つの文章が突然英語からスペイン語に切り替わったり、それぞれの辞書には載っていない造語が使われたりする。ヒスパニック系の6割以上が使用しているとの調査もある。」
私が関心をもつのは、アメリカでこのようなスペイン語話者の増大をもたらしているところの、中南米からの移民の増大とヒスパニック系の人びとの出生率の高さそのものである。FRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き上げているにもかかわらずアメリカ経済が曲がりなりにも拡大しつづけているのは、このヒスパニック系の人びとの増大を要因とする、と分析することができるからである。
もろもろの生産部門や流通部門を拡大し、そして「脱炭素」を旗印とする新たな産業部門を興していくためには、IT(情報技術)やAI(人工頭脳)技術の発展にもとづいて既存の部門から放出される労働人口だけでは足りない。すぐに労働力の不足にもとづく資本の過剰があらわとなる。アメリカにおいて賃金が上昇し・利子率が引き上げられながらも経済が拡大しているのは、既存の諸部門の外部から労働力が補給されているからなのである。それが、ヒスパニック系の人びとの増大なのである。
中南米からの移民やかつての移民の子孫は、下層の労働力を形成することになる。諸独占資本および中小の諸資本は、彼らを、自己を増殖するための格好の搾取材料とするのである。これらの諸資本は、——既存の白人や黒人の労働者ばかりではなく、——ヒスパニック系の労働者たちを新鮮な餌食とし、彼らの生き血を吸って自己を増殖しているのである。
これが、今日のアメリカ帝国主義の政治経済構造の姿なのである。この帝国主義国が、「少子高齢化」という名の・新たな搾取材料の枯渇に見まわれている日本帝国主義に圧倒的な差をつけた根拠は、ここにある。アメリカ帝国主義が没落しながらも中国帝国主義に世界の覇権をなお譲り渡してはいない要因は、ここにある。
労働者・勤労者の搾取と収奪と抑圧を強化することを基礎にして延命を図る諸帝国主義を連続的に打倒するために、全世界のプロレタリアートは階級的に団結しよう!