目標は「5%前後」——この全人代に先立って「国家秘密保護法」に「共産党の指導」を明記

目標は「5%前後」——この全人代に先立って「国家秘密保護法」に「共産党の指導」を明記

 

 中国全人代において、李強首相は、2024年の実質経済成長率の目標を「5%前後」として23年の目標と同水準に据え置くことを明らかにし、「今年の目標の達成は容易ではないが、達成に努力すべきだ」、不動産不況や消費低迷が続くなかで積極財政を強める、という方針を強調した。

 これは、他面から言えば、過酷な労働に苦しめられている労働者たちやその他の諸階層の不満をやわらげるために高い経済成長を実現する、ということがもはやできないことを表明したことを意味する。全人代閉幕後の李強首相の記者会見をやらない、ということもまた、経済危機をのりきる手がない、ということの自認である、と同時に、習近平の強権的な支配をよりいっそう強化するためのものでもある。

 注目すべきなのは、この全人代に先立って、その常務委員会が、「国家秘密保護法」に「共産党の指導」ということを新たに明記する決定をおこなった(2月27日)ことである。あわせて、何が機密に当たるのかを担当部門が単独でも決められることが定められ、さらに、機密に触れることができる政府の職員などにたいして、退職する際に、一定の期間、出国することを禁じ、退職後も処分の対象とする規定が追加された。

 これは、習近平指導部が、現下の経済的危機を経済的諸措置によってのりきることは不可能と判断し、解雇や賃金の不払いに反対して決起している・そしてさらに決起するであろう労働者たちを徹底的に弾圧することを決断したことを意味する。その首謀者に、国家機密を漏らしたという罪を着せて処罰する、ということである。

 国家機密にかかわる判断と処罰を強化する決定をおこなえば、外国の資本が逃げていくことはわかりきっている。外国企業の社員が中国で自企業の経営が成り立つかどうかを見極めるために市場の調査をおこなえば、国家機密を探った、という罪を着せられかねないからである。

 それでも、習近平指導部はこの決定をおこなった。ということは、彼らが、東側帝国主義陣営と西側帝国主義陣営との経済的分断をよりいっそう促進することを決断したことを意味するのである。

 この決断は、同時にまた、アメリカ大統領選挙にトランプが勝利することを見越してのことだ、とも言いうる。トランプは、東西両陣営の貿易の分断を促進し、アメリカおよび西側帝国主義諸国の諸企業の中国への進出を阻止する政策をとることは間違いない。そうであるかぎり、習近平指導部としては、西側の諸資本の自国への呼びこみをはかる政策はとらず、労働者階級の闘いの圧殺をはかる諸措置のみをとる、ということなのである。経済的連携を追求する相手は、経済制裁をうけているロシアとその同盟諸国、およびグローバル・サウス諸国だ、ということなのである。

 このようなかたちで争闘戦をくりひろげる東西両陣営の帝国主義国家権力者、彼らの支配を根底からくつがえすために、全世界のプロレタリアートは階級的に国際的に団結しよう!

 

「未富先老」(豊かになる前に老いる)の農民工——全人代開幕を前にした中国

「未富先老」(豊かになる前に老いる)の農民工——全人代開幕を前にした中国

 中国の全国人民代表大会全人代)が3月5日に北京で開幕する。この中国では、経済的危機が進行し、労働者階級は悲惨な状況に追いこまれている。

 もっとも追いつめられているのが農民工だ。

 生活の糧を求めて都市に流れこんだ農民出身の労働者たちは、いまや、工場や建設現場から相次いで追放された。彼ら農民工は豊かになる前に老い始める「未富先老」の現実に直面しているのである。彼らは、「先富論」を掲げた鄧小平のもとで都市に駆りだされ徹底的に搾取された挙句に、使い捨てなのだ。この現実をおおい隠すためのスローガンが習近平の「共同富裕」なのである。

 かつて若い農民が都市にむかったのであった。いまや、2022年に3億人いた農民工の平均年齢は42・3歳。50歳以上の割合は10年前の2倍の約3割に達した。

 若者も大変だ。学生を除く16~24歳の失業率は2023年12月に14・9%に上った。若者のあいだでは、恋愛せず、結婚せず、出産せずをさす「三つのノー」がひろがっている。

 生起しているのは、明らかに、資本の過剰とこれにもとづく労働力の過剰である。

 各地で、放置された建設途中の高層マンションがコンクリート壁と鉄骨の異様な姿をさらしている。

 建設されてから一度も使われていない高速鉄道の駅も、風雨にさらされている。張りめぐらされた高速鉄道網は、赤字路線がほとんどを占める。これを運営する中国国家鉄道集団の負債は6兆元(約125兆円⦆に達している。それでも、今後も建設をすすめる方針だという。

 空港も、造りすぎであり、黒字は1割余りしかない。地下鉄や発電所もまた同様である。

 地方政府は、農民から土地を収奪し、その使用権を開発業者に売却して、インフラ投資のための資金を得るとともに、地方政府=党官僚と開発業者とで、利益を山分けし私腹を肥やしてきた。(1990年代には、地方政府のこの暴力は、スターリン主義政治経済体制の解体を促進したのであり、これは、資本の根源的蓄積過程の中国的形態をなしたのであった。)このうまい商売が成り立たなくなって久しい。投資と資金繰りのために銀行などから借りた金は膨れあがった。

 中国財務省によると、2023年末時点の地方政府の債務残高は40兆7373億元(約850兆円⦆に達し、前年比で16%増加した。国際通貨基金IMF)は、地方政府の累積債務は2023年に、「隠れ債務」をふくめて100兆元(約2080兆円)に及んだと推計している。

 地方政府はこの財政危機ののりきりを、公務労働者や教育労働者への賃金の未払いというかたちで強行しはじめた。

 各地で、教育労働者たちは団結し、大挙して地方政府庁舎に押しかけ抗議行動を展開しているのである。

 全世界のプロレタリアートは、このように苦しめられ・それをはねのけるためにたたかう中国のプロレタリアートと国際的に階級的に団結してたたかおう!

 

日経平均株価1066円高の3万7963円! まさにバブル!

日経平均株価1066円高の3万7963円! まさにバブル!

 

 2月13日の東京市場での日経平均株価はさらに大幅に続伸し、終値は、前週末比1066・55円(2・89%)高の3万7963・97円となった。

 まさにバブルである。

金融的バブルが急膨張! 危ない!

金融的バブルが急膨張! 危ない!

 

 2月13日の東京株式市場では株価は高騰し、日経平均株価の午前の終値は、前週末比901円高の3万7798円となった。これは金融的バブルの急膨張である。

 この東京市場での株価高騰は、12日のニューヨーク株式市場での流れを引き継いだものである。ニューヨーク市場では、この日、ダウ平均株価は史上最高値を更新し、終値は前週末よりも125・69ドル(0・33%)高い3万8797・38ドルとなった。

 この株高は、投機屋たち(金融諸機関・諸独占体・個人投資家たち)が、アメリカ経済は底堅く、このままインフレがおさまり、ソフトランディングが可能である、というように期待したことにもとづく。

 だが、事態はそんなに簡単ではない。金融的バブルは膨れに膨れあがっているのである。このバブルの膨張は、ウクライナ政府およびイスラエル政府に兵器の供与など軍事的に援助するための軍事支出の増大と軍需生産の拡大、ならびに政府・金融諸機関・諸独占体によるAI(人工知能)技術およびIT(情報技術)の開発のための投資の狂奔にもとづく。FRB連邦準備制度理事会)は政策金利を引き上げられるだけ引き上げているのであって、政府の財政支出の拡大が限度に達し、FRBによる政策金利の引き下げの判断がちょっとでも狂うならば、膨れあがった金融的バブルは一挙に破裂するのである。

 危機は中国から迫っている。中国では不動産バブルがすでに崩壊した。各地で、建設中の高層マンションは途中でその建設が放棄され、鉄骨やコンクリート壁むき出しの無残な姿をさらしている。中央政府は、危機におちいった不動産独占体を、倒産させ整理する企業と救う企業とに分けて、連鎖倒産の危機を必死で回避しようとしている。不動産開発に多額の資金をつぎこんできた地方政府は、膨大な負債を抱えこみ、この財政危機をのりきるために、地方政府官僚に属さない労働者たちから順に、この労働者たちへの賃金の支払いを停止した。真っ先にこの犠牲となった教育労働者たちは、団結して、地方政府庁舎に押しかけ、「賃金を支払え」と叫んで、断固たる闘争を展開した。この闘いは各地にひろがっている。次には、清掃労働者たちへの賃金の支払いが停止され、街は、回収されないで積み上げられたごみでいっぱいになるのではないか、と予測されている。

 中国では、物価は対前年比で下落をつづけており、デフレの傾向をしめしているのである。この中国には、多国籍銀行となっている世界の金融諸機関や、多国籍企業となっている世界の諸独占体は、多額の資金を投じ、そして現地企業(合弁企業をふくむ)を設立しているのである。政府が中国経済と自国経済との分断を図っているアメリカ、この国の金融諸機関や諸独占体もまたそうなのである。中国経済の危機の深化は、世界金融危機勃発の引き金となるのである。

 2008年のリーマンショックのときには、膨大な国家財政支出にささえられた中国経済は、世界金融危機のもとでの各国経済の、なかんずく西側帝国主義各国の経済の救世主となった。だが、今回は、その中国の経済が、世界金融危機の発火点となるのである。

 株価高騰の狂騒の根底で、この危機が深化しているのである。

 全世界のプロレタリアートは、労働者たち・勤労者たちの犠牲のうえにみずからの危機ののりきりを目論んでいる東西の帝国主義の諸策動をうちくだくために、国際的に階級的に団結しよう!

 

「連合」指導部の階級協調主義をうちやぶり、労働者階級として団結して春闘をたたかおう!

「連合」指導部の階級協調主義をうちやぶり、労働者階級として団結して春闘をたたかおう!

 

 「連合」指導部は言う。

 「いまこそ、成長に見合った分配を実現し、働く人・生活者が生活向上の実感と未来への希望を持てる社会へと転換をはかるべきである。そのためには、建設的な労使関係を基礎として、雇用の維持拡大、労使の協力と協議、成果の公正な分配を柱とする生産性三原則をナショナルレベル、産業レベル、地域レベル、企業レベルで真剣に実践していく必要がある。」と。

 「成長に見合った分配」だと!!

 「成果の公正な分配」だと!!

 この言辞は、「連合」指導部が階級協調主義の権化であることを端的にしめすものである。彼らは、労働貴族として、利潤のおこぼれが欲しいから、こんなことを言っているのである。

 上の主張は、生産においては資本家と労働者とが協力して働き、その成果の分配の段階になって、労働者にも相応の分け前をください、と資本家にお願いするものなのであり、ここにつらぬかれているものは、階級協調主義のイデオロギーなのである。それは、労働者が資本家に搾取されていることをおおい隠すためのイデオロギーなのである。しかも、「連合」指導部は、資本家と労働者とを階級としては捉えず、ともに生産性を向上させ企業を発展させるために励む、その役割が違う者というように考えているのであって、階級協調主義と言っても、かつての社会民主主義者とは異なって、その腐敗の極限に達した連中なのである。

 労働者は生産そのものにおいて資本家に搾取されているのである。資本は、賃労働という・労働者の生き血を吸って肥え太っているのである。賃金は、労働者がみずからの労働力を資本家に売ったその代金にほかならない。労働者は生産手段をもたない存在であるがゆえに、みずからの労働力を商品として切り売りしなければならないのである。一方においては、資本家が生産手段を資本として自分たちの手に集中し、他方においては、みずからの労働力以外には何も持たない労働者がうみだされているという、この資本制生産関係そのものが問題なのである。

 労働者たちは、この資本制生産関係をその根底から転覆するという目的意識をもとう!

 労働組合員と、組合のない職場でたたかう労働者たちは、労働者階級として団結して、賃上げ闘争をたたかおう!

 

「貴社の福利厚生は外国人従業員も使える?」——日本ガラパゴス資本主義への独占資本家どもの危機意識

「貴社の福利厚生は外国人従業員も使える?」——日本ガラパゴス資本主義への独占資本家どもの危機意識

 

 「貴社の福利厚生は外国人従業員も使える?」——日本経済新聞電子版は問いかけた。これは、日本の独占資本家どもの危機意識の吐露である。

 なぜか?

 日本経済は、ガラパゴス資本主義と化しているからである。日本においては少子高齢化によって労働力が圧倒的に不足している。独占資本にとっては搾取材料が底をついているのである。新たに雇い入れる・元気のいい労働者が豊富にいなければ、独占資本にとっては、もっと吸いたい賃労働という生き血がなく、剰余価値の増殖が限界に突き当たってしまうのである。日本では、もうずっと、この状態なのだ。日本は、ガラパゴス島のように、労働力という点において世界から隔絶されてしまっているのである。

 日本政府は、移民を受け入れるという政策をとっていない。難民の受け入れについてはきわめてネガティブだ。政府は、日本で働かせる外国の人びとを「移民」と呼ばず「外国人労働者」と呼んでいるのであり、資本家どもはこの外国人労働者をこき使うだけこき使って使い捨てにしているのである。

 日本の独占資本家どもは、ジレンマにおちいっているといえる。彼らは、一方では、自分たちの資本をよりいっそう増殖するためには、外国から、搾取材料たる労働者をどしどし導入し、彼らの生きた労働を搾り取らなければならない、と考えている、と同時に他方では、現存する日本の労働者種族(労働者とその子や孫たち)をよりいっそう身を粉にするかたちで働かせ、彼らを屈従させて支配するためには、「日本人は優秀なんだ。日本人は勤勉であり、国家・社会・会社というみんなのことを考えて率先して働くんだ」というイデオロギーを労働者たちに注入して、日本人の純血性を守らなければならない、と考えているからである。

 この意味では、日本の支配階級のナショナリズムイデオロギーは独自的である。このイデオロギーは、縄文人弥生人がむすびついてできた人種の血が脈々と流れているのが現代の日本人なのであり、このゆえに優秀なのだ、というものである。このナショナリズムは、人種という考え方がむすびついているのである。これを基礎づけるために、支配者どもは、天皇家にかんする神話ではなく、縄文人弥生人にかんする考古学的研究を利用しているのである。NHKの大河ドラマ紫式部についてやっているのも、これの演技者ではなく、この放送局の首脳陣を後ろからあやつっている支配者の意図からすれば、これほどまでの長編小説を書きえた日本人の優秀さを平安時代にまでさかのぼってしめして見せ、現代の日本の人びとに焼き付けているものなのである。日本の支配階級が、日本の労働者たちをあくまでも徹底的に搾取し不満を抱かせることなく支配するためには、この独自のイデオロギーの貫徹が不可欠なのであり、このイデオロギーの貫徹を現実的なものとして保障するためには、日本人の血に外国人の血を混じらせるわけにはいかないのである。日本の支配者どもが、難民の受け入れをこれほどまでに忌み嫌い、外国人労働者をこき使うだけこき使って出身国に追い返してしまう理由はここにある。

 だがしかし、日本の独占資本家どもにとっては、こういうことをやっているだけでは、日本経済は衰退の一途をたどってしまうのである。子どもを産めと号令をかけてみても、老人をさらにさらに長く働かせも足りない。日本経済を何とかするためには、外国人労働者を少しは大切にしなければならない、というわけなのである。そこで出てきたのが、独占資本家の代弁者による「貴社の福利厚生は外国人従業員も使える?」という問いかけなのである。

 このように、あらゆる層の労働者たちを何としても搾取し支配することを追求している独占資本家どもと国家権力者の策動をうちくだくために、日本の労働者階級は階級的に団結しよう! 全世界のプロレタリアートと国際的に連帯し団結しよう!

 

実質賃金、昨年2・5%減。労働者みんなの大幅賃上げをかちとろう!

実質賃金、昨年2・5%減。労働者みんなの大幅賃上げをかちとろう!

 

 厚生労働省の発表によれば、2023年の実質賃金は、前年比2・5%減となった。2年連続の減少だ。春闘でかちとった賃上げ分よりも物価の上昇が上回っているのだ。こんなことでは生活していけない。

 労働組合員・組合役員のみなさん!

 組合のない職場でたたかっている労働者のみなさん!

 労働組合の団結の力で、職場の労働者全員の団結の力で、労働者みんなの大幅賃上げをかちとろう!

 プロレタリアとしての自覚をもち、労働者階級として階級的に団結して、賃上げ闘争をたたかいぬこう!