参政党のイデオロギーは、労働者たちを戦争に動員するための新たな日本ナショナリズムである
参政党の神谷は、党員と支持者たちに、「代々」を意味する橙(だいだい)色のシャツを着させて「いち、にい、参政党」と叫ばせた。これは、ムッソリーニの「黒シャツ隊」やヒトラーの「褐色シャツ隊」を真似た「橙シャツ隊」の組織化である。
自民党の高市早苗は、「皆様、こんにちは。高市早苗、奈良の女です。大和の国で育ちました。」「私、高市早苗、日本をかけがえのない国にしてきたこの古来の伝統を守るために体を張ります!」と演説した。これは、イタリアの極右の首相メローニの「私はジョルジャ、女であり母でありイタリア人でありキリスト教徒、それを誰にも奪わせない!」という演説を真似たものである。
過去のファシストも、現在のファシストも、現在の日本の極右ファシストどもを呼ぶ。
だが、この両者、参政党と高市とは、同じ極右であっても異なる。
わが仲間が着目してくれたのであるが、参政党の憲法構想案には次のように書いてある。
「(領土等の保全)
第二十一条 国は領土、領海、領空その他主権を及ぶ地域を保全する。
2 外国の軍隊は国内に常駐させてはならない。
3 外国の軍隊の基地、軍事及び警察施設は、国内に設置してはならない。」
参政党は、すべての米軍基地の撤去を、したがって現行の日米安保条約の破棄を主張しているのである。だから、参政党は、安保条約護持の自民党内の極右とは決定的に異なるのである。
参政党のイデオロギーは、新たな日本ナショナリズムなのである。
参政党は、その憲法構想案の冒頭で、日本は「八百万の神(やおよろずのかみ)と祖先を祀り」と押しだした。
高市は、「奈良の鹿を蹴り上げている外国人がいる」「神社の鳥居にぶら下がっている外国人がいる」と言って外国人を非難した。これは、日本の神話に言う・神の使いである鹿を大切にせよ、神さまの鳥居をうやまえ、というものである。
参政党や高市は、なぜ、こんなことを言うのか。
それは、日本人はこんなにすばらしい伝統をもっており・優秀なのだから、日本の国と日本人を守るために戦わなければならない、と言って、労働者たちを新たな戦争に動員するためなのである。だが、この戦争とは何か。資本を増やすという・資本家の利益のための戦争なのである。労働者は、仲間であるべき他の国の労働者と殺し合いをさせられるだけなのである。日本の由緒ある伝統や日本人の優秀な血筋を語るのは、それを語る者どもが日本の支配階級の利害を体現して、労働者階級やその他の諸階級・諸階層に属する人びとを国家のもとに国民=民族として統合し、侵略戦争に動員するためなのである。
この日本と日本人の伝統と血筋のイデオロギーが、日本のナショナリズムなのであり、国家統合のイデオロギーなのである。
われわれは、職場集会において、また種々の集まりにおいて、さらに労働組合のビラにおいて、このことを明らかにして論議しえているであろうか。そのように論議して、労働者たちや学生たちを変革しえているであろうか。われわれはこのことをふりかえらなければならない。
