イタリアの極右の国家権力者メローニのイデオロギー:「祖国と血縁の結束」(結束=ファッショ)
現在のイタリアの国家権力者メローニのイデオロギーはいったい何なのか。
メローニが率いる党の名称は、「イタリアの同胞(Fratelli d’Italia)」である。これはイタリア国歌の一節(また、「マメーリの讃歌」という名の国歌の別の名称とされる)であり、祖国と血縁の結束をあらわす表現である。この表現は、古代のローマ帝国の「市民の誇り」や「ローマ人としてのアイデンティティ」に通じるものがある、といわれる。イタリアでは、小国に分裂していたイタリアを統一し、イタリア統一国家をつくることが、イタリア・ブルジョアジーの悲願だったのであり、この悲願を高ぶらせるものが、古代ローマ帝国への思いであった、といえるであろう。
日本の人びとは、「君が代は千代に八千代に」とうたわれるように、神代から受け継がれた「万世一系」の天皇をみずからの心の故郷にせよ、と支配階級によって強制されるのであるが、イタリアの人びとは、「イタリアの同胞」の名において、古代ローマをおのれの心の故郷にせよ、と支配階級によって強制されるのだ、と言ってよいであろう。古代ローマのほうが、日本の天皇家よりも圧倒的に古い。日本ではおなかのなかの天皇といわれたのであったが、イタリアの人びとにとっては、古代ローマは、その心のうちにもっとずっしりと刻みこまれていたのであろう。
しかも、古代ローマ帝国の領土の大きさは、古代大和朝廷の領土の比ではない。古代ローマを思い起こしたときのイタリア・ブルジョアジーの領土欲はいかほどであったであろうか。
ムッソリーニのファシズムのファッショは、日本では「結束」と訳される。第二次世界大戦でのドイツ・イタリア・日本の敗北までは、「ファシズム」という言葉は悪い意味ではつかわれていなかった。いまでも、日本語で「結束主義」と言うならば、これがあのファシズムのことだ、と知っていないかぎりは、悪い意味としてうけとられることはない。
ファシズムの「結束」は「祖国と血縁の結束」をあらわす。イタリアの人びとにとっては、これが古代ローマを想起させるのであろう。それは、イタリア統一国家の結束をあらわすものとして、わきあがるイタリア・ナショナリズムの情感を体現しているのであろう。
ムッソリーニは、転向したのではなく、最初から根っからの熱烈な民族主義者であり・社会党員だったのだ、といわれる。それほどまでに、当時のイタリアでは、イタリア統一国家を愛するものとして、古代ローマを想う「民族の誇り」の意識が強かったのであろう。
メローニは演説で「私はジョルジャ、女であり母でありイタリア人でありキリスト教徒、それを誰にも奪わせない!」と叫び、「神・祖国・家族」をおのれの信条として強調した。
これは、「祖国と血縁の結束」のイデオロギーとして、ローマ帝国のような強い国家・秩序・伝統・家族・宗教を理想とすべきことを、労働者階級に属する人びとやその他の諸階級・諸階層に属する人びとに強制し、彼らを国家のもとに国民=民族として統合することを、国家権力者メローニがくわだてたものだ、といわなければならない。
メローニのイデオロギーは、日本の参政党のイデオロギーに似ているのである。むしろ、参政党のイデオロギーは、イタリアのメローニのイデオロギーと似ている、というべきか。
また、メローニは、直接選挙で選ばれる大統領制を追求している。これは、強権的な支配体制を築くことを目論んでいるものである、といわなければならない。
さらにほりさげて考察していく必要がある。

古代ローマの想像画