「無利子100年のアメリカ国債」を買わされると脅える日本独占ブルジョアジー
日本経済新聞は、「日本が保有する米国債1兆ドルに魔の手も」、「日本に「無利子100年米国債」購入を迫る可能性」と報じた(電子版、4月16日)。これは、日本独占ブルジョアジーの恐怖を表現するものにほかならない。この二つは別々の記事なのであるが、この両者を結びつけると、日本政府は、みずからが保有している1兆ドルのアメリカ国債を、徐々にではあれ、「無利子100年のアメリカ国債」に交換させられる、ということになる。これは、アメリカの国家権力者と独占ブルジョアジーにとって、もっともいい手である。日本独占ブルジョアジーがもっとも怖れているのが、これなのである。
かつて1985年に、アメリカ国家権力者は、巨大な貿易赤字を解消するために、帝国主義各国に、協調してドル高を是正することを迫り実現した。これがプラザ合意である。世界を席巻していた日本は、これによって、その後、バブルの膨張とその崩壊という事態におちいり、アメリカに対抗する国ではなくなり、ついえさった。
だが、いまは、こんなことはできない。スターリン主義政治経済体制から転化したところの東の帝国主義国・中国が、あくまでもアメリカに対抗するぞ、とがんばっているからである。そこで、アメリカ国家権力者は、みずからが真っ先にやらなければならないことは日本帝国主義国家権力者を屈服させることである、と判断したのである。その内容は、日本単独で円高=ドル安に誘導することを日本政府にのませる、ということである。そのためには、日本政府に、それが保有する1兆ドルのアメリカ国債を決して売らせないようにする必要がある。日本政府が保有するアメリカ国債を「無利子100年のアメリカ国債」にしてしまえば、日本政府からそれを買う者は誰もいなくなる、というわけなのである。
アメリカ政府は、今回の日米交渉で、こういうことへの道筋をつけることを狙っている、といえる。しかし、うまくいくとはいえない。中国政府は、これと同様のことをのむことはありえないからである。そうすると、日本政府ものむことはないからである。自動車や農産物などの個別品目にかんしても、アメリカ政府も日本政府も、つくべき相手の弱みをさがしているのである。
アメリカ国家権力者トランプは、主要産業の海外での生産拠点をアメリカ国内に移転させることに必死である。だが、これには時間がかかる。まず、半導体の生産に手をつけた。エヌビディアは、アメリカ国内に半導体の生産体制を築く計画を発表した。次は、自動車の生産である。トランプは、製造拠点をカナダやメキシコなどからアメリカに移転する自動車メーカーにたいする支援策を検討している、と打ちあげた。
これに対抗する中国帝国主義国家の習近平は、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国を訪問し、これらの国ぐにの政府と支配階級を抱きこむ策動にのりだした。
西の帝国主義諸国家権力者も東の帝国主義国家権力者も、労働者たち・勤労者たちの搾取と収奪と抑圧を強化することを基礎にして、この経済的争闘戦をかちぬくことを策しているのである。
全世界のプロレタリアートは、このような帝国主義諸国家権力を打倒するプロレタリア世界革命を実現するために、みずからを階級として組織し国際的に団結してたたかおう!