中国との対抗鮮明に。トランプ、中国には、関税125%、他の国には相互関税の実施を90日間停止
アメリカ大統領トランプは。9日午後、同日実施したばかりの相互関税の上乗せ部分について、報復措置をとらず交渉を申し入れてきた国・地域にたいしては90日間、その実施を停止すると発表した。5日に課した10%の一律関税にかんしては維持する、とした。トランプ政権の閣僚は、日本を、交渉を申し入れてきた先頭にたつ国とした。これとは反対に、トランプは、報復措置を打ち出した中国にたいしては、関税を125%に引き上げる、と明らかにした。
これをうけて、9日のニューヨーク株式市場ではダウ平均株価は5営業日ぶりに反発し、終値は前日比2962・86ドル(7・87%)高の4万608・45ドルとなった。
この90日間の停止措置は、連日の株価の急落に、アメリカ国家権力者トランプが恐怖したものにほかならない。アメリカに対抗するために中国がアメリカ国債を売っている、といううわさが流れて、株式・ドル・債券のトリプル安の様相を呈したからである。と同時に、トランプは、報復措置を打ってきた中国に対決する姿勢を鮮明にした、と言える。
世界の覇権を狙う中国帝国主義の国家権力者・習近平は、「自由貿易」の旗を掲げて、BRICS加盟諸国やグローバル・サウス諸国(この両者はかさなるが)などを抱きこむ、と同時に、西側の帝国主義国をなす日本や西ヨーロッパ諸国にも触手を伸ばす、という意志をうちかためたのだ、といわなければならない。
アメリカの国家権力者および独占資本家どもも、中国の国家権力者および官僚資本家どもも、日本をはじめとするあらゆる帝国主義国・資本主義国の支配階級も、この貿易・経済戦争にうちかち・あるいは・生き残るために、労働者たちの搾取を徹底的に強化し、さらに物価をつりあげて・すべての勤労諸階級・諸階層の人びとからの収奪をすさまじいものとすることを狙っているのである。
アメリカ政府が自動車に25%の追加関税を課すのはそのままである。日本の自動車諸独占体は、アメリカでの現地生産を拡大するのはそうすばやくはいかない。彼らは、あくまでもアメリカへの輸出を維持していくために、労働者たちの数と賃金を徹底的に削減し、また下請け・孫請け企業から部品を買いたたいていくことを目論んでいるのである。
コメの価格をみよ。政府による備蓄米の放出にもかかわらず、下がるどころか上がっている。これは、コメの消費者への販売価格と農家からの買い付け価格とのあいだに大きな差がうみだされたことにもとづいて、この差に付けこんで商業利潤を得るためにコメ取引に新たに商業資本家ども・仲買業者が群がったことを要因とするのである。コメが足りないのではない。儲けるためにコメを買い・売る資本家が増えたのである。これが、資本主義社会の構造なのである。
日米交渉において、アメリカ政府側が、コメを中心とする農産物の関税の撤廃・非関税障壁の撤廃・輸入の拡大をせまってくるのは必死である。日本のもろもろの商業資本家どもは、農産物のアメリカからの輸入価格と消費者への販売価格との差をあてこんで、儲ける機会を虎視眈々と狙っているのである。
日本の労働者たち・勤労者たちは、そして全世界のプロレタリアートは、国家権力者どもと独占資本家どもによる搾取と収奪の強化をうち砕くために、国際的に階級的に団結してたたかおう!