トランプ政権はゼレンスキーを辞任に追いこむつもりか。ゼレンスキーは嵌められた?

トランプ政権はゼレンスキーを辞任に追いこむつもりか。ゼレンスキーは嵌められた?

 

 トランプの手下であるウォルツ大統領補佐官は、——イギリスでおこなわれている・ゼレンスキーをまじえたヨーロッパ諸国の権力者どもの鳩首会談をしり目に、——3月2日、CNNテレビに出演し、「われわれには、ゼレンスキー大統領が戦争の終結に向けて話しあう準備ができているかが分からなかった。首を振り、腕を組むなど信じられないほど無礼だった」と、かの口論についてしゃべった。

 そのうえで、彼は、「ウクライナにはわれわれと、そして、最終的にはロシアとも取り引きし、戦争を終えることができる指導者が必要だ」とのべた。これは、ウクライナの国家権力者の首をすげかえるべきだ、という目論見を露骨に表明したものである。自分たちトランプ政権は、ゼレンスキーを辞任に追いこむ、という意志をあらわにしたのである。

 また、ウォルツ補佐官は「この戦争を終わらせる必要があり、領土に関する妥協をすることになるだろう」とのべた、という。これは、現在の軍事上の前線を停戦ラインにする、ということの表明である、と言える。

 これより前3月1日には、ニューヨーク・タイムズは次のように報じた。アメリカ共和党のリンゼー・グラハム上院議員が会談前に、「挑発に乗らないように」「安全(の保証)について議論しないように」とゼレンスキー氏に助言していたが、実らなかった、と。

 これは、アメリカ国家はウクライナ国家の軍事上の安全を保証することはない、という意志の表明である。これは、トランプが「アメリカがウクライナの鉱物資源を共同で開発するならば、ロシアが攻めてくることはない」と、くりかえし述べていたことと同じである。

 この意味では、ゼレンスキーはトランプ政権の面々に嵌(は)められたのだ、と言える。この面々の意志は、「安全の保証」をもとめるかぎり、ゼレンスキーを切る、ということである。

 これほどまでにアメリカ帝国主義は危機なのだ、といわなければならない。アメリカの国家権力をつかさどる面々は、ウクライナの停戦をできるだけ早く実現し、ロシアとの戦争のためにアメリカの国家資金をつぎこむのをやめて、アメリカの資本家階級が労働者階級を支配するための政治体制を何としても維持する、ということだけを考えているのである。彼らは、アメリカの資本家が労働者を搾取する、この関係を守りぬくのだ、という衝動に駆られているのである。

 トランプ政権が移民排斥の排外主義をあおり、労働者階級を分断する追求をやっていること自体がそうである。

 アメリカのプロレタリア階級闘争は変質させられ、壊滅に追いこまれてきた。それでもさらに、アメリカの支配階級は、労働者階級を抑圧し、労働者たちの労働という生き血を徹底的に吸い取ることを追求しているのである。

 全世界のプロレタリアートは、怒りにもえて起ちあがろう!

 西の帝国主義をも東の帝国主義をも打倒し、プロレタリア世界革命を実現するために、全世界のプロレタリアートはみずからを階級として組織してたたかいぬこう!