プーチンの領土・勢力圏の再分割の帝国主義的要求

プーチンの領土・勢力圏の再分割の帝国主義的要求

 

 ロシア軍はキエフの制圧に迫っている。

 プ-チンにうずいているのは、領土・勢力圏の再分割の帝国主義的要求である。

 西の帝国主義諸国は、国際決済網(SWIFT)からロシアの大手の銀行を排除することを決定した(2月26日)。これは、ドルをもつアメリカの帝国主義権力者に、ロシアの天然ガスに依存するドイツなどの帝国主義権力者が歩みよったことにもとづく。この策は、現段階ではロシアへのもっとも強い制裁措置であるといえる。

 しかし、どうも抜け道がいろいろとあるようである。

 三菱UFJ銀行など日本の3メガバンクは、ロシアに送金できなくなるというような影響をうけることはないのだ、という。これらの銀行はロシアに現地法人をもっているので、ロシアの銀行を介する必要はない、ということなのである。

 そうであるならば、ドイツの大銀行も同じである。天然ガスの代金にかんしても、ドイツの諸企業—ドイツの大銀行—それのロシア現地法人ガスプロムなどのガス独占体というルートで簡単に決済できることになる。SWIFTからのロシアの主要銀行の排除は、ドルを駆使するアメリカ帝国主義の地位の低下をもたらすだけとなってしまう。

 また、2014年のクリミアの併合以降に、ロシアは、独自の国際決済網SPFSをつくってきた。これはまだ小さくロシアの国内での金融取引にとどまる、という。さらに、中国も、2015年に、人民元の国際銀行間決済システム(CIPS)を導入した。ルーブル人民元の国際的な力の差を考えるならば、ロシアの銀行はCIPSに依存するのが現実的である、といえるであろう。北京で習近平と会談したプーチンは、「そのさいは人民元を頼りにするのでよろしく」とたのんできたのかもしれない。習近平は、ここぞとばかりに、デジタル人民元の活用を国際的な大規模な取引にまで拡大する腹を固めた、とみてよいであろう。

 ロシアへの経済的な制裁措置の実施は西の帝国主義諸国の国際的地位の低下をもたらす、というパラドックスを生むことになる。

 プーチンは、自国ロシアが中国と結託していることを基礎にして、西の帝国主義諸国に領土・勢力圏の再分割の要求を突きつけ、これらの帝国主義諸国の軍隊と自国軍が直接に戦闘を交えることを回避するために、NATOにはいまだ加盟していないウクライナを狙ったのだ、といわなければならない。

 ロシア帝国主義のウクライナ軍事侵略を阻止するために、全世界の労働者・人民は国際的に連帯してたたかおう!

 相争う東西の帝国主義諸国、その国家権力者とブルジョアジーの搾取と収奪と支配をその根底からくつがえすために、全世界のプロレタリアートは階級としてみずからを組織し団結しよう!